あの夏の空に掌をかざして
 瞳を開くと、そこにはいつもの闇。


「な、なんで…?日向は、まだ」


 突然の出来事に頭が追い付かなくて、あたしは混乱した。


 日向はまだ死んでいなかったはずだ。けれど、あたしは今ここにいる。


 ということは。


「…失敗した…て、こと…?」


 声が震える。膝も笑っていて、あたしはそこにペタンと座り込んだ。


 すると、またあの光に包まれた。


 そこにいたのは、一緒に遊ぶ、幼い男の子と女の子ーーーーー。


 ではなく、座り込むあたしの前にいたのは、日向似の、あの男の子だった。


 目の前で、まるであたしが見えているかのように見下ろしてくる。


「あかりちゃん、久しぶり!」


 目の前の男の子は、ニッと笑った。


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