あの夏の空に掌をかざして
 そこは、あの夢の続きだった。


 頭から沢山の鮮血を流し、大きな血溜まりをつくる女の子の横には、血に濡れた、縦1メートル、横50センチくらいの、大きな看板。


 女の子側には、泣き叫ぶ男の子。


『×××ちゃん!×××ちゃん!しなないで!』


 やっぱり、名前の部分だけノイズがかかっている。


 男の子の悲痛な叫び声に、野次馬がぞろぞろと増す。


 そんなとき、突如男の子の体から、闇のなかであたしを包んだ光が発せられた。その光はどんどん強く、どんどん眩しく、女の子と男の子を包んでいく。


 光が消えると、そこには、


「っっ!!」


 男の子と女の子は、もう何処にもおらず、あの血溜まりもキレイさっぱり消え、看板は元の位置に戻っていた。


『あれ、俺らなにしてたんだっけ』


『なんでこんな人集まってんの?』


 人混みの中から、そんな声が聞こえる。


 え……?覚えてないの?


 あたしは、その人達に、不信感を覚える。あの男の子には、何か特殊な力があるのだろうか。


 そして、あたしの体も透けていっていることに気付いた。


 どんどん薄くなり、そしてーーーー消えた。
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