あの夏の空に掌をかざして



 足元に視線を落として、日向の背中についていく。


 ……もうすぐ、日向は事故に遭う。


 そう思うと、妙な焦りが込み上げてくる。手は汗ばんで、背中からも気持ち悪い冷や汗がタラリと流れてくる。


 ……大丈夫、またどうせ戻れる。…でも、もし、あれが予知夢で、二度と戻れなかったらーーーーっ!!


 その時だった。



 プップーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキキィィィ!!


 足元に目がいっていて、手を出すのが遅れてしまった。


 ドカン。日向の体が、宙に舞う。


 それはスローモーションのように、あたしの目に焼き付いて。


 衝突の衝撃で回転する日向と、最期に目が合う。


 日向は驚きに目を見開いて、その後に苦悶の表情をした。


 バタン。日向の体が、地面に叩きつけられる。


 大きな血溜まりをつくり、数回ヒューヒューという呼吸を繰り返すと、日向は二度と動くことはなかった。


 途端に光り始める自分の体。徐々に薄くなり、気持ちもフワフワしてくる。





「……ひなた…」


 そしてーーー、消えた。

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