『誰にも言うなよ?』


確証は、ない。


遠目で見て体型や髪型

黒マスクという点が

あの男を連想させるだけで


他人の空似という可能性も、あるわけで。


それでも――。


「……行くの?」


立ち上がろうとするわたしの手首を掴むレオ。


「騒ぎが静まるのを待ってからでも、いいんじゃない? 巻き込まれたら危ないよ」

「……離して」

「どうしても、行きたいんだ?」

「行き、たい」


わたしの返事を聞き


ふぅ、と小さくため息をつくレオ。


「あとで青山くんに一緒に怒られようか」

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