fantasista






そんなあたしに追い打ちをかけたのが、




「元彼……っていうか、彼氏?カワイソー」



セクハラ男、大迫さんだ。

いつもあたしと舞さんの会話を盗み聞きしてくる。

あたしは口を噤んで大迫さんを見た。





「山形、お前やっぱり天然記念物だ」




あたしの気持ちなんて考えもせず、ずかずかと失礼なことを言う大迫さんに、



「大迫君。うるさい」



舞さんは怒ってくれるけど。




大迫さんの言葉が胸を抉る。

戸崎のこと、大好きなのに。

あの記憶は、遥か昔の話なのに。

あたしはこんなに女々しい女だったのか。

ため息をついた。



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