溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「すみません、遅くなって」
「お、来た来た! 今回のメインゲスト」

 個室のドアを開けてやってきた男性と目が合うなり、動きを止めてしまった。


「永井ホールディングスのCEOご登場!」
「えっ……すごい!!」

 男性陣の紹介を聞くなり、同僚は色めき立つ。
 そのテンションにもついていけず、かといって知り合いだと言っていいものか……。
 到着してすぐに彼はハイボールを注文し、同僚と楽しそうに話しだしてしまって、私は置いてけぼりを食らった。


「花澄ちゃん、飲んでる? 酒、強いの?」
「いえ、あまり強くはないんですけど……」
「俺と一緒に飲もうよ。はい、これ持って」

 ひと休みしていた私の手に、半ば強引に梅酒サワーのグラスが握らされ、一方的な乾杯が交わされる。


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