溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 滞りなく予定の打ち合わせが済み、車内で内容をかいつまんで聞く。
 詳細は帰社してから、PCに社長が送ってくれている情報を確認しよう。



「おかえりなさいませ」
「お疲れさま」

 永井社長が帰社して、エントランスロビーを歩くと、通りすがる社員たちがにこやかに挨拶をしていく。彼も同じように微笑みを絶やすことなく返すからか、社の雰囲気は御門と違ってとても穏やかだ。



「――永井社長、九条さん」

 耳触りの良い声に視線を泳がせると、思いがけない方が来社していて驚いた。


「瀬戸さん!?」

 ゆっくり立ち上がり、フレアスカートのワンピースの裾が揺れる。
 淡いブルーと濃紺の色味がよく似合っていて爽やかだ。


「社長、お久しぶりです」
「瀬戸さん、帰って来てたんですね」
「ご存じだったでしょう? 社長は」

 二人が話している隣で、私も思わず口角が上がってしまう。


< 329 / 378 >

この作品をシェア

pagetop