カノジョの彼の、冷めたキス
キスの関係
フォローのお礼
勤務時間終了後に、一通の社内メールが届いた。
勤務時間外なのにおかしいな、と思いながらマウスでクリックしてメールを開く。
だけど……
『コーヒー』
そこに書かれていた、わずか4文字こっきりの単語にげんなりとした。
眉を顰めながらパソコンから顔を上げたあたしは、二列向こうのデスクで同じように残業している男の背中を無言で見つめる。
その男こそが、メールの差出人だからだ。
彼と関わり合うようになってから、こういうことがよくある。
特に、あたしと彼がふたりで社内に残っているときに、だ。
単語だけの社内メールで人のことを使おうとするなんて。
あたしはパシリじゃないんですけど。
振り向かない背中を睨んで、送られてきたメールを即効削除する。
まったく。
こんなの、無視だ、無視。
あたしだって忙しい。
あとひと息で仕事が片付くんだから。