愛しかた
疲れた。
本当、どっと疲れた。

「優星、もしかして本当に京真と何かあるの?」
「どうしてですか?」

どいつもこいつも煩いな。

「さっき二人のとき、なんだか深刻そうな顔をしてたから」
「浅野さんの悪口を言っただけです」
「・・・それは酷いな」
「浅野さん、次二人の前で変なこと言ったら、貴方を刺殺します」
「随分物騒なこと言うね」

あんな思い、二度としたくない。

「えぇ。けど、本気ですから」

最後の一口のシャンパンを喉に流すと、頭がグランと揺れた。
私も飲みすぎだ。

「浅野さん、申し訳ないんですけど、お水貰ってきてくれませんか?」
「大丈夫?待ってて」

この数時間で確信した。
浅野さんは良い人。無邪気で優しくて、人として、とても良い人。

刺殺すなんて言ってごめんなさい。
勿論冗談ですよ。ちょっと強めに釘差しただけです。

浅野さんが中に入ったのを確認してから席を立つ。
テラスから庭に出て、覚束ない足取りで庭からそっと外へと出て、近くのパーキングにいるはずの咲人に電話をかけた。
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