愛しかた
受付の女性に止められることも無く、真っ直ぐ上階の社長室に向かう。

エレベーターがフロアに到着すると、目の前にパパの第二秘書の人が待っていた。
受付から連絡が入ったのだろう。

「いる?」
「いらっしゃいますが、何かございましたか?」
「貴方に話すことじゃないから」

ズカズカと廊下を進み、前室を抜けて社長室に入ると、そこには会長であるお祖父ちゃんもいた。

パパは私の顔を見るなり「何だ一体」と低い声を出す。

「お祖父ちゃん久しぶり。お土産あるよ」
「お帰り優星。それは楽しみだな。それより話があるんだろう。私はもう戻るよ」
「ううん。いいの。すぐ終わるからいて」

本当は足がすくみそうなくらい怖い。
こんな風に誰かと向き合うのは初めてじゃないだろうか。

「彩人さんが病院に運ばれたそうですね」
「階段から落ちたと聞いたぞ」
「階段から落ちた?」

この人、本当にそんな馬鹿なことを信じているんだろうか。


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