星空シンデレラ
「沙良って、この春休みが終わったら俺の高校に転校してくるんだよね。友達とかいた?」

「うーん…同じ地方ではあるけど、さすがにいないかな。県をまたいで大分あるし」

「だよねぇ…大丈夫、俺がいるから!不安なことは全部、俺がサラッと自然にイケメンフォローするよ」

「ありがと…」

結局、半分くらい食べたところでお腹いっぱいになってスプーンが止まってしまった。遼夏がそれを見て「無理しなくていいよ。俺が食べようか?」ってもらってくれたはいいけど…何から何まで、申し訳ない。

「あー…眠いなぁ。もう日付変わってるし…沙良、どうする?シャワー浴びてから寝る?」

「うん…使わせてもらうね。わざわざ声かけてくれて、ありがとね」

「だから、いいんだって。もう沙良は家族なんだからさ…あ、でもね」

「ん?」

瞬きした私に、遼夏は珍しく真剣な表情を見せた。

「沙良は、俺達の家族だよ。でもそれは、沙良のお父さんやお母さんが、もう沙良の家族じゃないって言ってるわけではないからね。
お父さんやお母さんが見つかるまで沙良が一人になっちゃうから、俺達が好きで、沙良を立花家に迎え入れたんだ。それは、沙良の家族が増えたってだけで、変わったってわけじゃないんだよ。
…えっと、ごめん、うまく言えないんだけどさ…そんなに思いつめないで。大丈夫、おじさんもおばさんも、すぐに帰ってくるよ。そして見つかった後も、沙良は俺達の家族だから。ね」

「…うん」

うつむきながら、そう一言言うのがやっとだった。それ以上の言葉は、涙を堪えるのに必死で出てこない。
泣きそうなのがバレていると思うと恥ずかしくて仕方なかったけど、こんな優しい言葉をかける遼夏が、こんなに私の気持ちを考えてくれる遼夏がいけないんだ。

「…ありがと」

「うん」

もっと言いたいことはあったけど、ひとまず泣かずにその一言を伝えられた自分を、褒めてあげたい。
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