【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1

運命の邂逅―君が奏でる音―

◼相馬side◻



「相馬、さっきのはどうかと思うわ」


女が出ていった部屋で、夏翠がそう言ってきた。


「―…何がだよ」


正直な言葉を述べただけなのに、夏翠は滅茶苦茶に怒っているらしく、冷たい目を向けてきた。

「沙耶のどこが嫌いなの?あんたが女相手にあそこまで本性を出すなんて……普段は、気持ちが悪いくらいに、紳士の癖に」


「……」


出ていった女こと沙耶を見ていると、正直、落ち着かない。


沙耶の瞳を見れば、ざわめく心。


「兄さん、ちゃんと沙耶を見てあげようよ」


水樹が悲しそうに言った。


彼が思い出しているのは、前世のことだろう。


「だから、見てたじゃねーか。沙耶とかなんとか知らねぇが、初対面でシャンパンをぶっかけられた上で、殴られたのは初めてだぞ」


少なくとも、人生上、経験したことがない。


今までの女は仮面をつけて、寄ってきたから。



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