【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「……何があったの?幼馴染みさん」
「それを言うなら、沙耶に何があったのよ。柚香」
「そこがさっぱりなのよ」
誰にも分からない、二人の仲。
楽しそうに笑い合う姿は、人の目を集め。
女子はこそこそと話し、男子は羨ましそうに見る。
「あーあ。また、敵作っちゃって」
無意識にそれを行うところが、沙耶のヤバイところである。
「確かにね。相馬は、他の男子と比べれば、異常だから……相馬に逆らうやつはいないけど、沙耶はすでにシカトされているし」
沙耶は全く、気にする性格ではないが。
「……誕生日」
「へ?」
夏翠が呟いた言葉に、首をかしげる。
「この間、相馬の誕生日だったんだけど……誕生日って、相馬にとって良いものじゃなくてさ。沙耶にお願いしてたの。相馬が壊れないように見ててって。なんか、よく、分からないけど、丁度、その日に二人で過ごすらしかったから」
出逢ってからの行動が早過ぎやしないだろうか?
「二人っきりって……相馬、可哀想」
「え?なんで?」
「だって、沙耶と二人っきりとかになったら、自信を喪失するし?」
「そんなにひどいの?沙耶の言葉って」
「うん。笑いながら、言うもんだからね」
それは、それは、酷いものである。
沙耶に言葉で勝てない人間たちは、
沙耶を物理的にいじめる。
けど、その物理的でも勝てないので、
何の意味もない。
結局、健斗さんによって育てられた沙耶は、
健斗さんに性格が似てしまい、
それでいて、容姿がお母さんのユイラさん似なものだから、敵はたくさん作るのだ。
つまり、最強。
「あの家族は、異常だよ」
「……だろうね」
夏翠の納得した声を聞いていると、遠くから、沙耶に呼ばれた。