鈍色、のちに天色




────あたし、決めたよ。



たくさん悩んで、何回も諦めて。


でもやっぱり、諦めきれなかった。



あたしちゃんと素直になって、生きていくよ。



"もう1度走りたい"

その思いがふつふつと湧き上がってくる。



走りたい、走りたいよ……っ。

この足を、もう1度使いたい……!



この答えを導いてくれたのは、まぎれもなく陽希。



全力で、感謝したい。



でもね、その前にやらなくちゃいけないことがあるの。



ちゃんとケジメをつけて、柵(しがらみ)から解放されるために。



だからそれまでは、"もう1度走りたい"って言わないことにするよ。



だけどそのときが来たら、笑顔で迎え入れてくれるよね?



あたしが頑張ってこられたら、あたしの大好きなその笑顔で迎えてね。



紺色の夜空、さっきまで隠れていた月が顔を出す。



月明かりの下、あたしは決心をした────。







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