鈍色、のちに天色

踏み込まないでください。

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「楓南、学校には慣れてきた?」




転校してきて、1週間。


朝食のパンを頬張っていると、お母さんが尋ねてきた。



「うん、だいぶいろんなことがわかってきたし」


「なら、よかった」





あたしの家族構成はお母さん、お父さん、2個下の妹の南那(なな)。


いたって、平凡な家庭。……ではないかもしれない。



2階からおりてきた、南那。


普通にあたしたちと挨拶を交わすけれど、あたしは知っている。


南那が寂しがって、孤独を感じていることに。



お父さんとお母さんはあたしが事故に遭ってから、人一倍あたしの体のことを心配するようになった。


その代わり、南那が1人の時間が多くなった。


時折悲しそうに、そして羨ましそうにあたしを見ている。



だけど、南那は文句1つ言わない。


そんな南那に、あたしは何も言えなかった。



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