鈍色、のちに天色

あの日あの時、惚れたんです。―陽希side―

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*陽希side*




俺は一瞬で恋に落ちた。


駅伝が大好きで、キラキラと輝く笑顔を見せる君に────。






あれは中学2年の、春の大会のときのこと。




「はぁ〜〜緊張する! 吐きそう!」


「陽希、さっきからそればっかじゃん。少しは落ち着きなって」




バクバク鳴る心臓を抑える俺を、親友で駅伝の仲間でもある海斗(かいと)が、冷静な目で見る。




「落ち着けるかっての! 初めてアンカー任されたんだし……逆になんでそんなに海斗は落ち着いてるんだよ!」


「陽希とは違って、落ち着きのある性格なんです」


「俺だってあるし!」


「どーだか」



ムキになる俺と、ふっと嘲笑った海斗。



俺たちはいつもこんな感じ。


俺とは正反対の性格で、常に冷静沈着、物事を一歩引いて見ている。



でも海斗はフォームも綺麗で、持久力があって駅伝の選抜メンバーに選ばれている。


ほんと、こいつも陸上が好きで、得意なんだよな。



"海斗"って、陸上より水泳やってそうな名前のくせに!



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