struck symphony
深夜1時を過ぎた頃 ー






陽音は、仲間達との快い打ち上げを終え、
帰宅した。



帰宅すると、さっきは予定外で出来なかったが、
だいたいは、まず シャワーを浴びる。



恵倫子たちが眠っているであろうと配慮して、
静かに済ませ、部屋着のスエットに着替えて、
リビングに入った。



恵倫子がベッドで眠っているであろうと
様子を見に向かう途中、
ふと、
響が眠る畳スペースを見守るように覗くと、
恵倫子が、
響に添い寝をして 眠っていた。



“寝かしつけて
そのまま自分も眠っちゃったんだな”

母娘の 仲睦まじい光景に、
陽音は、目を細める。



陽音は、そのまま 起こさないように
と、
飲み物を取りに
冷蔵庫へと行きかけた が、



響は、ちゃんと布団に入って
眠っているが、

恵倫子は、掛け布団もなく、
畳の上で眠ってしまっているのに気付いた。

“これじゃ、風邪をひいちゃうな…”



陽音は、
せっかく ぐっすりと眠っているのを
起こしてはかわいそうだな と思いつつも、

明け方の肌寒さを察し、
恵倫子を抱きかかえて ベッドに寝かそうと考えた。


恵倫子を
初めて 御姫様抱っこすることになる…が、
平常心を保とうとしながら 歩み寄る。


ふと、
響の 可愛らしい寝顔に、
目が覚めて ママが傍にいなかったら
泣いちゃうかもしれないな…、かわいそうだな…
と、思い…


側にあるソファーベッドに寝かせる事を
思い付いた。


背もたれを倒し、
畳の押入れから掛け布団を出す。


そして、


起こさないように… との想いで、
恵倫子を そっと 抱きかかえた。



恵倫子は、ぐっすりと眠っている。

なんとも、あどけない寝顔…


恵倫子のシャンプーの匂いが、漂ってくる…



“あっ… 俺と同じ…
…そっか
うちのを使ったんだから 当たり前か。

にしても…、
格別に いい匂いな気がするな…”



陽音は、敏感に刺激されそうになる感覚から
気を逸らしながら、

恵倫子を ゆっくりと ソファーベッドに寝かせた。



そのまま眠っている恵倫子に 安堵しながら、
掛け布団をかける。

と、

少しの寝返りとともに 恵倫子が、囁いた。


「陽音さん…」


苗字でしか呼ばれた事のない陽音は、
思わず ドキリとした。



恵倫子の顔を見ると、眠ったまま。


「寝言か…」



心の内では、名前で呼んでくれているのか…
名前で呼びたいと 思ってくれているのか…




恵倫子の胸の内が知れた気がして、
陽音の心は、高鳴った。 ーー


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