365日、いつまでもふたりで
「なぁ、茜から俺のことぎゅっとしろよ」


「え!?」



口調は俺様なのに、似合わないかわいいお願い。



「してくれないの?」



甘えたようなその口調に彼への愛しさがこみ上げる。



「……いいけど、急にどうしたの?」



竜くんは2人になると突然甘えてくることがある。
そんな竜くんはあたししか見ることが出来ないから、嬉しく思うんだ。



「今日、8月9日だよ」


「はちがつここのか……」


「数字をよく思い浮かべてみなよ」



竜くんの言葉に8と9の数字を頭に思い浮かべる。



「あ!はぐ!」


「そ。今日はハグの日なんだよ」



お姉さんの影響で〇〇の日に詳しい竜くん。



「じゃあハグしてあげる」



竜くんの向かいに座ってぎゅっと竜くんへ腕を回す。



「いいな、これ」



恥ずかしそうに、でも嬉しそうにあたしに腕を回されたこの人はつぶやく。



「こういう竜くんくんを見れるのはあたしだけだもんね」


「当たり前だろ」



あたしの背中に腕を回して竜くんもぎゅっと抱きしめてくれる。



「これからよもよろしくな」

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