365日、いつまでもふたりで
「お、茜ネイルかえたんだな」



パソコンに向かってると聞こえてきたそんな声。



「うん。かわいいでしょ」


「シンプルだけど、いいな。似合ってる」



ふと茜の席に目をやれば、ニコニコと両手の甲を塚田に向けてる。

塚田もそんな茜の指に手を触れてるし、フツフツと怒りがこみ上げてくる。



「俺のなのに」



そんな俺の呟きにも誰も気づかない。
社内では俺はただの茜の教育係。



「でも、茜が白のネイルって珍しくない?」


「まぁねー。これにはちょっと理由がね」



そんな声が聞こえる。



「……白?」



俺はふとカレンダーに目をやる。



「今日って9/14だよな」



茜のネイルが白と聞いて、俺には一抹の不安が残る。



「セプテンバー・バレンタイン」



紫色の物を身に附け、白いマニキュアを塗り、緑のインクで書いた別れの手紙を直接手渡すという日。


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