365日、いつまでもふたりで
「茜、帰ろう」



誰もいなくなったブース。
コツコツと足音が聞こえて、横を見るとすぐ隣に竜くんか来ていた。



「あ、うん!」



竜くんが少し遅くなるってことで、終わるまでパソコンであたしも作業をしていた。

独り立ちまであともうすぐ。
いろいろ最近は勉強してるところだ。



「今日、行きたいところあるんだ」



優しい目をしてあたしを見ながらそう言われる。



「行きたいところ?」


「うん。でもまだ内緒な」



あたしの唇に人差し指指を当てる。

その行為だけで、あたしの心臓はうるさくなる。
もう竜くんと付き合って結構経ったのに、一向に慣れないこの心臓。



「……会社なのに」

「え?なんかした?」



キョトンとしてる顔に、恥ずかしいのはやはり自分だけでしゅんとなってしまう。



「……なんでもない」



とりあえず恥ずかしいし、竜くんの顔が見れないのでブースから出ようと歩き出す。

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