愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
六月中旬。いよいよ関東地方でも梅雨入り間近となった今日この頃。

私は会社の上司とふたり、途方に暮れていた。


「えっと、小山さん……この珈琲の量は一体なにかな?」

「すっ、すみません! 注文数を間違えてしまったようで……っ」


エントランスの一角で宅配業者から届いたばかりの五箱の荷物。

その荷物を前にひたすら頭を下げるばかりの私、小山菜穂美(おやまなほみ)。


今年入社したばかりの二十三歳。肩まである黒髪のセミロングヘアで、どこにでもいるような平凡な顔立ちをしている。


少しばかりパソコンスキルがあり、秘書検定など資格をいくつか保有しており、英語を話せるという特技があって、今の会社に入社できたと思う。

でなかったら、どこの企業だってこんな私を雇ってくれないと思うから。


昔からちょっと……いや、かなり抜けているというか、要領が悪いというか、ドジというか……。よくなにかとやらかしてきた。

ここぞって場面で気合いを入れ過ぎると、必ずといっていいほど失敗してしまうんだ。
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