カクシゴト
「はぁーーっ」


と、先生は長いため息をついた。


「お前なぁ…」

「あはは…。」


なんて返していいかわかんなくて、


何となくの返事をした。


「…でも、楽しそうに話してたな。」

「そう見えました!?」


やばい、気づかれたかなっ


先生のこと話してたって…。


「お似合い、に見えたぞ。

タイプだったのか?」


先生は意地悪な顔しながら聞いてくる


「タイプ…?

まさか!そんなことあるわけないです!」

「…」


…なんか誤解されてるっ?


そっか、やだよね。


生徒といっても今日だけは1日彼女みたいに


扱う人がナンパされたとか…。


私だったら嫌だし…。


「せん、隼人のこと話してたんだよ!」

「…!

ふ〜ん。ま、分かんないけどな。」


先生は私に顔を見せないように横を向いた。


でも、見えた。耳が赤い。


「隼人、照れた?」

「て、照れるわけないだろ!」

「耳赤いよ?」

「うるさいぞ。松田。」

「あっ、すぐ先生口調になる!」

「…。

行くぞ。秋桜。」


そういって先生は私に手を差し伸べた。


「つまらないことで意地張って悪い。

早く水族館行こ。な?」


なにこれ。


可愛い…。


キュン死ってやつしそうだよ…!

___

「は、はやと!凄い、二モ!ニモいる!」

「あー、クマノミな。」

「可愛い!」

「…そうだな。」

「あ、ダイオウイカ!!でっかい!」

「わかったから、はしゃぎすぎて転ぶなよー」


そう言いながらも先生は


水槽の中の魚達に見とれてる。


…何か可愛いな…。


そうして私達は1時間ほど時間をかけた後、


水族館を出た。


「お土産買うか?」

「買いたい!」


そう言うと先生は苦笑いしながらも


一緒に選んでくれた。



お土産が買い終わって、私達はドライブしてた。


辺りは段々と暗くなってきてて、


赤色の夕日がすごく綺麗だった。


どれ位の時間車を走らせたかは分からないけど、


先生がある場所で車を止めた。


「先生、ここは?」

「ここはな、俺の好きな場所。」


連れてこられたのは公園。


崖の上みたいなところにあって、


下が見渡せるようになってた。


「凄い、綺麗…」


感動するくらい綺麗だった。


どの家たちもほんのり赤に染まってて、


その奥で見える黄色と赤の夕日が輝いてて、


こんなに景色のいい所に来たのは


初めてかもしれない。
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