カクシゴト


「先輩…!?」

ミサキがそういった相手は、
この間うちに泊まりに来てたかず…くん。

「何やってんの、山田。」

「いや、あの…っ」

「秋桜ちゃん、出ておいでよ」

「秋桜!?」


床に押し倒されてた夕依が
立ち上がって私の方に駆け寄った。

顔は腫れていて、頬からは微かに血が出ていた。


「夕依、大丈夫!?」

「秋桜…
いつからいたんだよ」


ミサキも立ち上がった。


その時、鳥肌がたった。

なぜなら、殺されるんじゃないかって言うくらい
ミサキは怒った目をしていたから。


「…秋桜ちゃん、夕依さん、もう大丈夫だから。」


私達の前にかずくんが立つ。


「山田、帰れ。」

「でも、先輩…」

「帰れって言ってんだよ。」

「かず、くん…」

「…かずくんとか、
いつの間にそんなに仲良くなったんだよ!

秋桜!」


ミサキは、私に怒鳴った後
床にしゃがみ込んだ。


「家に帰ったら親に暴力ふるわれて、
学校でも中々仲のいい子出来なくて、
先輩と、先輩と話してる時が唯一の楽しい時間…。

一緒にいれるだけでよかった…

1日24時間という長い時間の少しだけでも、
先輩の時間を独占できたなら。

そう思ってたのに…」

だんだんミサキの声が小さくなってく。

「告白するのにそう時間はかからなかった。
出会って2ヵ月位にはすごく好きになってて、
やっと決意して告白したのに…。

振られるのなんて別によかった。

でもね、先輩、なんて言ったと思う?
秋桜…」

「え?」

「『俺は、秋桜ちゃんの事が好きなんだ。』

迷いのない顔で、少しはにかみながら
先輩は言った。」

「わ、たし…?」

横を見ると、俯いたままのかずくんがいた。

「友達なんて結局そんなもんなんだ、って思った。

そう考えたら、今まで仲良くしてたのが恥ずかしくて、とことん傷つけたくなった。」
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