カクシゴト

『貴方のこと、誰よりもずっと愛していたわ!』


静かな部屋に、映画の中のセリフが響く。


部屋は明かりを消してるから真っ暗で、


隣にはお兄ちゃんの友達がいる。


何か変な感じ。


相手が佐藤先生だったら嬉しくなるのかな…。


そんなことを思ってたら目の前に舞桜の顔が来た。


「何考えてるの?」


小声で尋ねてくる。


「何でもないよ。」

「うそ。好きな人のこととか考えてたんだろ〜」


そういって舞桜ははぁとため息をついた。


「俺この映画見すぎて飽きたんだよね〜」


言いながらスマホを触ってる。


「…私の部屋で違う映画見る?」


言ってから気づいた。


何いってんの、私!!


何故か恥ずかしくなって俯いた。


そしたら、


「いいの?じゃあ、行こう。」


以外にも舞桜は私の誘いに乗ってきた。


時計はいつの間にか12時を回っていて、


お兄ちゃん達は、小さくいびきをかきながら寝ていた。


「じゃ、行こっか。」


何見るか、と考える前に私は1つ見たいものがあった。


「ネコの恩返し見たい」

「お、いいね。でも、ビデオ持ってんの?」

「…持ってない」

「じゃあ、携帯で見よっか。イヤフォンとかある?」

「あるよ。」


舞桜の出した考えはこう。


イヤフォンを二人で共有して携帯で見よう。


とのこと。


嫌って言ったら感じ悪いと考えた私は、


素直にオーケーした。


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