カクシゴト

近距離

水曜の昼。


暑くて、家の中にいても熱中症になりそうな天気の中。


私は部活の為学校へ向かった。


「何でまだ4月なのにこんなに暑いの…!!」


先生の誕生日まであと3日。


3日後は、土曜。


たしか土曜は部活がないはず。


私はバレー部に入っている。


そして佐藤先生はその顧問。


だから、好きになったって言うのもある。


1時になったばかりの体育館には


私以外誰もいなくて、


体育館の前で座って待つことにした。


「あれ、松田か?」


声の主は先生で、自然と私は笑顔になった。


なのに、


「あれ、もしかしてお前連絡来てない…?」


対照的に先生の顔は暗くて、


すごく焦った様な表情をしてた。


「連絡?来てないと思います…」


良きわかんなくて私もあやふやな返事をしてしまった。


「えーっとな……

今日、部活、なしっ…なんだけど…」

「えぇっ!?」


聞いてない…と言うよりも、


じゃ何で先生は学校に来たのだろうか…


「そうだ、じゃあ十分くらい待ってくれるか?

その後、もし暇だったら、練習…するか?」

「する!待ちます!」


暗かった雰囲気が一瞬で明るくなった。


あぁ、今日連絡来なくてよかった…。


_____________



それから10分後、今私は先生と体育館を走ってる。


「今日どこの部活も全部休みですか?」

「あぁ。

校長先生、が、ハァッ…

具合悪いみたいで、学校来れないからっ…

…どこの部活もなしって…フウッ」


キュキュッと音が響く。


私が足を止めた音。


「先生、疲れすぎです(笑)」

「う、うるさいなっ、

もうすぐ25だからな…ハァッハァッ」

「じゃあ、パスしましょっか(笑)」

「お、おっさんをなめるなよっ」


そう言って先生は悔しそうに笑った。
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