ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

高校を卒業した美姫が電車に乗らなくなった頃、彼女に似た女性を探したりもした時もあった。


だが時間が経てば、薄れていく…


美姫を思い出す事もなくなり、再び彼女に会える確率なんて0だったはず。


再び美姫と出会ったのに、他の男のものだった。


だが、挨拶した時、彼女の表情が変わった。


高校生の時のように峯岸を見つめる美姫の視線に、浜田は映っていない。


なんとも言えない優越感


美姫の視線は、隣に座る彼氏の浜田ではなく峯岸にずっと向いていたからだった。


気づかないふりをしながら巡らす思考は、自惚れなのだろうか?


峯岸を見る視線…あの時のいじらしい恋を思い出し、
再び出会った事で、峯岸に対する恋心に火がついた気がする。


彼女が上の空なのは、俺が気になるせいじゃないのか⁈


俺が席を立ち帰ると言えば、彼女はきっと悲しい表情をするはずだ…と自惚れる。


美姫を試すように帰る仕草をすれば、がっかりした表情をしているように見えた瞬間、確信する。


自惚れなんかじゃないと…


だからといって、峯岸は他の男のものになってしまった女をどうこうするつもりはなかった。


その時は…
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