光~明るいほうへ~


塾の夏期講習を受けていた高3の夏休み。

この頃になると三年前のことや少女の頃の記憶は段々と曖昧になってきていて、もしかするとあの少女の残像は夢なのではないかとすら思うようになっていた。

だけど、あれから、好きな人はたまに出来るけれど、上手くいきそうになると怖くなって、あれ以来彼氏と呼べる人は出来なかった。

「なぁ、なんで別れたの?やっぱ受験に集中したいから?」

休み時間に近くに固まっていた男の子の一人が他の子に尋ねていた。

「いや、あいつとエッチしようってなった時にさ、泣かれたんだよね」
「え、なんでなんで」
「なんか中学ん時レイプされたらしくって」
「マジかよ」
「うん、だから、なんつーか。汚れてる感じがしてさ」
「うわ、ひっで。……でも、なんとなくわかるわ、それ」
「だろ?」


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