今年の夏もキミを想う…。

高知の説明を受けて「そうなんですか」と嬉しそうに瞳を輝かせた和果子が、ガードレールに手をついて僅かに身を乗り出し、花火が打ち上がるのを待ちわびている。

しばらくしてようやく腹部の痛みから復活した宮崎も、若干ふらつきながら体制を起こした。


「そろそろかな」


高知がポツリと呟くと、ほとんど同時に夜空に大輪の花が咲いた。


「ね?穴場だったでしょ」


高知の得意げな声を軽く無視して、宮崎は次々と打ち上がる花火を一心に見つめる。

和果子もまた、瞳を輝かせて空を見上げていた。

無意識にポケットに手を当てると、指先にカサリと手紙が触れる。


「………」


ポツリと彼女の名前を呟くと、それに被せるようにして、一際大きな花火が夜空を彩った。

腹に響くような低音と、空に登っていく細い音のあとに、眩しい程の光が弾ける。


「うわあ……」

「おお……」


二つの感嘆の声が耳を打って、宮崎もつられるように声を漏らす。
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