今年の夏もキミを想う…。


「そう?じゃあ……レモンジュース、お願いできるかな」

「炭酸の方で、いいですか……?」

「うん、炭酸の方。なかったら、普通のでいいよ」


「はい」と頷いた柚花が、花柄のワンピースを揺らして駆けていく。


「ゆずちゃん!ゆっくりでいいよ。走って転んだら危ないから」


後ろから聞こえた高知の声に、柚花はピタリと足を止め、次いでゆっくりと歩き出す。

ひらひらと揺れて遠ざかっていくワンピースの後ろ姿を眺めながら、高知が嬉しそうに言った。


「ほんと、ゆずちゃんっていい子だよね。あと、メガネ外したら格段に印象が明るくなったと思わない?」

「先輩、肉が焦げてます」


自分の事を嬉しそうに話す高知の声を微かに聞きながら、柚花はゆるゆると緩んでいく頬にそっと両手を当てて包み込む。


久しぶりに会った彼は昔と変わらず優しくて、その姿に昔よりもっと胸が高鳴って……


「やっぱり、好き……」


どうしようもなく、切なくなった。
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