俺様ドクターに捕獲されました


着信履歴を埋め尽くした彼の名前を見て唖然としていると、また携帯が彼からの着信を知らせ震え始めた。


恐る恐るメールを順番に開いてみると、『用事ってなんだ』『もう病院を出たのか』『どうして電話にでない』『今どこにいる?』『連絡しろ』という短い単語のメールが並んでいる。


こ、怖っ。短い単語に怒りが込められている気がして身体がブルリと震える。


また鳴り始めた携帯に、そこ向こうで怒り狂っているであろう彼の姿が思い浮かび、思わず電源を切ってしまった。


「……顔色、悪いですけど。大丈夫ですか?」


真っ暗になった画面を見つめていた私は、心配そうなその声に慌てて笑顔を作った。


「だ、大丈夫です! それより、本当に私が行っても問題ないんですかね。お邪魔じゃありませんか?」


私の言葉に、飯嶋さんはブンブンと手を横に大きく振った。


「全然! みんな、天野さんが来るって聞いて喜んでます。本当、ごめんなさい。ひどい態度とって……。宇佐美先生って、みんなに優しいし、誰に言い寄られても靡かないから『みんなのアイドル』みたいな位置づけだったんです。だから、急に恋人が現れてびっくりしたというか……」


優しい……? それに、ア、アイドル……?


たしかにあの人はイケメンだけど、なんか似合わない。そんな健全なものよりは魔王が似合う気がする。うん、似合いすぎる。

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