俺様ドクターに捕獲されました


私は彼に、まだひとりではなにもできない子供だと思われているのだろうか。


他の人が知っているのに自分だけ知らされてないという事実が、彼に信頼されていない証のような気がしてなんだが悲しくなる。


「私ね、ずーっと里衣子ちゃんを宇佐美くんに紹介したかったのよ。宇佐美くんと里衣子ちゃんは絶対相性がいいと思ってたの。だけど、宇佐美くんてばモテるくせに幼なじみだっていう初恋の子を忘れられずに全然、恋人を作らなくてね。紹介もずっと断られてたのよ。自分にはその子しかいないからって。だけど、里衣子ちゃんと付き合い出したって聞いて、やっと前に進めたんだと思って」


うっとりと語る佳乃さんの言葉にかあっと顔が赤くなる。その初恋の子って、もしかしなくても私のことだよね。


「あら? 里衣子ちゃん、顔が真っ赤よ。あ、でも嫌よね。彼氏の昔の想い人の話なんて。無神経だったわ」

「い、いえ。あの、実は彼とは幼なじみで……」

「え? ええ!? お、幼なじみ?」

「そ、そうなんです。十年会ってなかったんですけど、あの日に再会して……。逃げちゃったのも、びっくりしたからで。なんていうか、本当に世間て狭いですね」

照れくさくて、あはは、とわざとらしい乾いた笑い声をあげる。

よほど驚いたのか、佳乃さんの目と口が、みるみるうちに大きく開かれていく。それから、頬を両手で包んで……。

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