空高く、舞い上がれっ。

太陽みたいな彼




野球部は朝早くから夜遅くまで部活だから、学校外で会えるのはだいたい部活が休みになる月曜日か、雨が降った日。
いつも家の近くのコンビニで待ち合わて、そばの小学校に行ったりお宮に行ったり。


輝空くんはいつも約束の時間に遅刻してくる。
でも、筋トレ練習の後、急いできてくれていることを知ってるから緊張しながら待っている時間も楽しかった。

急いでバイクを走らせて来てゴツゴツした手でわたしの手を握る。雨の中を走ってくる手は冷たくて、わたしはその手を温めてあげるんだ。

「あったけぇ~、いいなこの手」

「スキなのは手だけ?」

「バレた?」

輝空くんが意地悪そうに笑うけど、ほんとの気持ちがちゃんとわかるからその度に嬉しくなれる。
『この手を温めてあげらる女の子はわたしだけなんだよ‼』
そんな風に誰かに自慢したくなる気分。

天然ウェーブのかかったただでさえまとまりの悪い髪の毛が、湿気でさらにいうことを聞かない梅雨の季節を好きだと思えたのは……輝空くんと付き合っているから。
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