空高く、舞い上がれっ。
耳がないと輝空くんの声は聞こえない。
目がないとわたしに笑いかける姿は見えないし、感情がないと輝空くんを好きになることは出来ないよ。
嫉妬も悲しみも、好きだから感じてしまうんだ。

「輝空くん……」

「ん?」

「好きだよ」

輝空くんはわたしの顔を見て、プッと吹き出し笑いをした。

「あたりまえ」

いきなりなんだよ。と、わたしの背中にまわした手でポンポンと優しくたたいてくれて。
わたしは、さっきよりも強く輝空くんを抱きしめた。

思えばここは始業式に出遅れた場所。
あの時も、他に誰もいなくて──

──キーンコーン……


「「あっ‼」」

こんな風に二人、駆けだした場所で。
輝空くんと甘いキスをした。

輝空くんとの初めてのキスは短かったけど。まるでファーストキスの時のようなその感覚は、今までのどんな過去の思い出のキスより気持ちが透き通っていて柔らかくて。
どうしようもなく愛しかった。
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