空高く、舞い上がれっ。
わたしのせいで出れなくなった先輩は泣いていた。だからわたしは……

「自分のせいだって思う前に“先輩のためにも頑張ろう”って思えばいいんだよ。
輝空くんが頑張ってる姿見たら、最初は先輩、気に食わないって思うかもしれないけど……いつか伝わると思うよ」

輝空くんは黙って聞いている。

「輝空くんは……野球、好き?」

その問いに何も答えず、輝空くんは笑った。


「今日の事、誰にも言うなよ」

「モチロン」

少し笑って答えた輝空くんなら、大丈夫だと思った。これから強くなれる。


雨の日に傘はなく、降る雨は人の心を優しく包む。

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