結構な腕前で!
「そうです。神の子の最大の特徴は、自分自身を壺にできるところです。身体の中に亜空間を作り出し、魔を片っ端から吸い込む」

 うげ、とせとみは顔をしかめた。
 想像すると、なかなかグロい。

「気になるのは、昔からそういった異能者は崇められる存在でもあり、生贄の対象でもある、ということです」

 不意に、せとかが恐ろしい言葉を口にした。

「歴代の神の子は、皆魔の取り込みすぎで亡くなってます。ですが南野さんの様子を見ていて気付いたのですが、神の子はおそらく、何もなく自然に魔を吸い取るわけではないと思うのです」

「どういうことだ?」

「南野さんは、茶道部では普通に僕らと同じように、魔と戦ってます。魔が近くに来ても、その魔は吸い取られることはない。もちろん南野さんが自主的に魔を食べれば取り込むことは可能ですが」

「萌実ちゃんが、好きこのんで魔を食うとは思えんが」

「そうですね。さすがに僕も、そんな人はちょっと引きます。以前に南野さんは魔を食べても大丈夫だ、と言ったことがありますが、これを見る限り、大丈夫ではないようです。真に受けて南野さんが魔をばくばく食べないで良かった」

「お前な……。いい加減なこと言うなよ」

「いい加減に言ったわけではないんですが。けど確かに迂闊でした」

 自分の言ったことで萌実の命が危険に晒されるようなことになれば寝覚めが悪い。

「しかし、こういうことを知れたのも、言ってしまえば真行寺さんのお陰ですね」

 にこりと意味ありげな笑みを向けられ、せとみは何故か、咄嗟に視線を外した。

「で? えーと、萌実ちゃんが何だって?」

 話題を戻すせとみに、ああ、とせとかは呟いて、少し首を傾げた。
 ちょっと考えてから、思い出したように、ぽんと手を叩く。
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