結構な腕前で!
「そうでした。僕たちも南野さんをそんな目に遭わすことはしたくないんですよ。これを読んで思ったのですが、神の子が死ぬと同時に魔もいなくなる。まぁ厳密にはいなくなるわけではなく、一般人でも対応できる程度まで減る、ということでしょうけど。ということは、神の子一人の容量で、その時代の魔は一掃できるということです」

 せとかが、由梨花から借りた書物を翳して言った。
 それを見た由梨花が目を剥く。

「ちょっと! 何ですの、その歯形は!」

「ああ、あなたの可愛いびーちゃんが齧ったのですよ」

「何ですって? びーちゃんは自分でそんなものに食い付いたりしませんわ! あなたが食べさせたのでしょっ」

「食べてませんよ。羊じゃあるまいし。齧っただけです」

「はいはい、そこまで~」

 再びはるみが割って入る。
 全くせとかと由梨花だとお話にならない。

「えーと、つまり、南野さんのあの爆発的なパワーをもってすれば、何も取り込まなくても一掃できるんじゃないかと思うんです」

「そうね……。多分萌実さんの外向きの力は、内側の力が強いが故よね。内々の力を放出してるんだと思うから、放出する力は取り込む力と同等と思っていいと思うわ」

 はるみが納得したように頷く。

「問題は、贄のように魔を強力に引き寄せる方法ってところか」

 せとみもそう言って考え込む。
 せとみが喋ると、由梨花はぴたりと大人しくなった。

「萌実ちゃんを一旦贄にして、俺たちが寄ってきた魔を打ち払っていくか?」

「無理じゃない? だって前に由梨花の家で萌実さんに取り込まれた魔、こっちが手を出す暇もなく吸い込まれちゃったもの。一匹でそうなんだから、凄い量来られたら、多分対応できないわ」

「南野さんにも危険ですしね」
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