初恋のキミは最愛ヒーロー

「えっと、どうやって解けば……」


「こういう時は頭の中で考えるよりもノートに三角形を書いた方が、イメージもしやすい。実際に書いてみな」


「うん」


紙の上でシャーペンを走らせながら、図を書いていく。


「あ、本当だ…。分かりやすくなった」


「だろ?そうしたら、次は公式を当てはめて…」


私語に対しては怒られたけど、勉強は…きちんと私のペースに合わせて教えてくれる。


順を追って、ゆっくりと。


「これでいい?」


「正解。ちゃんと公式は理解してるみたいだな。それじゃあ、何問か練習問題やってみろよ」


次のページを捲ってくれる壱夜くんに、顔が綻ぶ。


いくら雨宿りの時間潰しと言っても、友達でもない私に対して、ここまで丁寧に勉強を教えてくれる人、なかなか居ないよ…。


“俺は碧瀬が思い描いてるような人間じゃねぇから”


そんなことない。


もしも冷たい人なら、とっくに私を無視して古書室から出て行ってるはずだもん。


壱夜くんは…


とても優しい心を持ってる男の子だよ。





< 61 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop