【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「まだ何か?」

「ああ、明日ウチの店に来てくれないか?」
モテ男は、ふてぶてしい。
大抵ふざけたことを言うものだ。
何故私が店に行く話になるのだろう。

「は?どうして私が?」

「ハウジング会社に勤めてるんじゃなかったっけ?」

「…そうですけど」
芽衣は再びスマホを耳から遠ざけた。

どうやら、モテ男は真知子から私に関する情報をちゃっかり仕入れているようだ。一体私のことをどこまで知ってるのだろう。


「都内に既に3店舗俺のレストランがあるんだけど。恵比寿のレストランの内装を少し変えたいんだ。そこで、専門家に相談したいんだよな。あんたハウジングアドバイザーなんだろ?」

「まあ…そうですけど。どうして私に?」

「わかんないのかな? 」
モテ男の言うことには、時々カチンときてしまう。なんだか思わせぶりだし、ある意味バカにされている感じもする。

「わかりません。他にお知り合いの業者さんとか仕事関係の不動産会社だとか…そういうのは、いないんですか?」

「冷たいなぁ。俺は〜芽衣に頼みたいんだよ。芽衣にも会いたいし」

ほら、出た。
呼び捨ての甘え。

下心丸見え。
どうせ、そんなことだと思った。

「仕事とプライベートはきちんとわけたいので、そんな理由ならお断りします」

「じゃ、仕事は後回しでさ、プライベートでデートしてよ。いい?」

いいわけがない。

モテ男とデートなんかしたくもない。
もう2度と会いたくない。

「あの、私は」

絶対に断る。
会わないときちんと言ってやる。

芽衣が息を吸い込んだとき、
「もしかしてさ、不安なの?」
梨田が変なことを言い始めた。

「え?」

「今度、俺に会ったら、自分がどうにかなりそうで怖いんだろ?イケメン嫌いが崩壊して難攻不落な城が簡単に陥落しそうだから、怖くて俺に会えないんじゃないのか?」
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