【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!


芽衣は、サイドテーブルの上にある時計を見上げる。

あと、5分だ。

5分我慢していればいい。

身を硬くして芽衣は時が来るのを待っていた。

少しして、梨田がため息をつくような吐息をもらし芽衣から更に離れ寝返りを打った。


本当にワガママで手のかかる子供みたいな男だ。

ベッドでジタバタしたり、疲れたと言ってもたれかかるなり、すぐに眠れるなんて。


芽衣は、梨田を起こさないようにそっとベッドから抜け出した。

ベッドサイドに立って、梨田を見おろす。

サイドテーブルの時計は、0時2分。

日付も変わり、約束の12時は過ぎた。

魔法つかいにかけられた魔法は、無事に跡形も無く解けたのだ。

*・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*
海の底にあった手鏡は、真実を映すことが出来る魔法の鏡だ。

海からもがくように上がってきて、辺りを窺う。拾ってきた魔法の手鏡は、真実しか映さない。
真実は時に残酷で、傷ついた心を呼び覚ましてしまう。

もう2度とあんな情けない自分の姿は見たくない。

見たら思い出してしまう。

だから私は誰もこないような岩場へ行きあの手鏡を誰にも目に止まらない岩の隙間に隠したのだ。

、*・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*
< 58 / 112 >

この作品をシェア

pagetop