【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!



斉藤課長の隣にいたのは、髪をムースか何かで固め前髪を上げた梨田だった。

前髪を上げているので、瞳がきちんと見えて今日は更にイケメンっぷりが象徴されている。

「課長、店舗のリフォームでしたら、グループのリフォーム会社の方がいいのではないかと」

芽衣の働くハウスメーカーでは、リフォームをしたいという客にはグループ会社であるリフォーム専門会社を紹介している。

「リフォーム?いや、こちらのお客様は新築物件をお探しだよ」

「え?」
芽衣は梨田の方を見た。すると梨田は芽衣と視線を合わせ少し笑った。

「斉藤課長、あとは田中さんに直接相談します。いいですよね?」

芽衣を見ながら、梨田は斉藤課長に提案した。

「えぇ、もちろん。田中くん、あとは頼んだよ。では、失礼します」
自分の広い額を撫でた手で斉藤課長は芽衣の肩をポンと叩いて梨田に一礼した。

斉藤課長がいなくなると、梨田はニッコリと芽衣に笑ってみせた。
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