桜色の涙

「星那ちゃん、ありがとう」


天使のように可愛くて太陽のようにいつも誰かを照らす。そんな彼女の隣にいられて本当に嬉しい。


『中途半端な気持ちで付き合ったわけじゃないよ』って言ってくれたんだ。俺がもっと強くならなきゃ。


強くなって、星那ちゃんを守れるくらいの立派な人になれたなら。


そのときは彼女も振り向いてくれるかな。江崎くんを見返すことができるかな。



「ううん、そろそろ戻ろっか」


付き合っていることが一瞬にして広まってしまった教室に戻るのは正直気まずいけど、彼女と一緒なら大丈夫だと思えた。


小さな手。寂しそうに笑う顔。光をなくした瞳。その全てを俺のものにしたいなんて欲張りかな。


でも俺は星那ちゃんの心がほしいんだ。


そんなことを思いながら俺達は手を繋いで教室へ戻った。
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