桜色の涙

加速する好き




翌日、俺は朝から玄関である人を待っている。


「渚!」


「……うわ」


それは、昨日スッキリしないまま分かれてしまった渚。



家に帰ってからもずっと悩んでいた。渚に何も言えなかったこと。そして、江崎くんに言われた言葉。


『星那のことは渡さねーからな』


あの言葉を聞いて気づいてしまった自分の気持ち。俺は、星那ちゃんが好きなんだ。



だから彼氏がいると知ってため息ばかりついていた。全部好きだからこその言動だったんだ。


出会ったときからこの気持ちは動いていたのかもしれない。あの桜の木の下で出会ったときから、きっと……。
< 30 / 374 >

この作品をシェア

pagetop