桜色の涙

『伝え、たかった……っ』


『大好き、だったのにっ……』


苦しそうにそう言う星那にまた胸が痛む。星那も自分の決断に後悔しているんだ。



俺と付き合っているときは弱さなんて見せなかった。別れるとき以外泣いたところなんて見たことがなかった。


そんな星那が泣いている。広瀬のことを想って泣いているんだ。


今更俺の気持ちを伝えたって手遅れだってことくらいわかっていた。


自分から手放したのにヨリを戻したいなんて都合が良すぎる。



でも……。


『……俺だって好きなんだよ』


聞こえないくらいの声で呟く。


失って気づいたんだ。星那の大切さに。そのぬくもりがそばにあるだけで幸せだったことに。


でももう戻ってこない。星那の好きな人は俺じゃなくて広瀬だから。



それなら俺は精一杯応援しよう。俺らしくもないけど、好きな人には幸せになってほしいから。
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