桜色の涙


◇◆◇



時間が過ぎるのは思ったよりも早く、もう今日は7月14日。そう、夏祭りの日。


今は渚と一緒に女子を待っている。でも彼は不服そうな顔で俺の顔を睨んでいる。



「だ、だからごめんって……」


実は昨日橋本さんに頼まれたんだ。


『広瀬くん、お願いっ!園田くんの浴衣が見たいの!』


渚が嫌がるのは目に見えていたけど、どうしても断れなくて今に至る。



「……どうして俺が浴衣なんて」


渚から出てきたのはやっぱり不満を含んだ言葉。でも本当に似合っている。


なんて、本人に言ったら怒られるだろうから口が裂けても言えないけど。



そんな不満そうな渚の隣で待つこと数分。


「お待たせー!」


「遅れてごめんね?」


浴衣姿で現れたの橋本さんと星那ちゃん。


軽く化粧をして普段とは違う大人っぽい髪型。そして、清楚で和な雰囲気の浴衣。


可愛い子が着ると華があってもっと可愛い。
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