桜色の涙

「ごめんね」




ドアを開けるとたくさんの視線が突き刺さる。


「え、誰?」とか、そんな声が聞こえるけどそんなの関係ない。


「江崎くん、話があります」




こうなった理由。それは昨日に関係している。


江崎くんと別れて泣いている星那ちゃんと一緒にいた俺。


冷静になってスマホの画面を見ると、もう渚達と分かれてから2時間近く経っていた。


『1時間後ここに集合ね!』


橋本さんは確かにあの駅の前でそう言った。それから2時間近く経っているということは……。



『……あの、星那ちゃん』


声をかけると彼女は無言で首を傾げる。


『渚達、きっと待っているよ。駅に向かおう』


何かを悟ったように小さく頷いた彼女と手を繋ぎながら、駅へ向かった。
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