桜色の涙

どうすれば笑顔にできるかわからない。


星那ちゃんは自分の心に嘘をついてフタをしている。思い出さないように目を背けている。


でも、それだと俺達がいる意味がないんだよ。


彼女が背負っている気持ちを知った上でも、俺はその悲しみを一緒に抱えたい。


半分にすれば辛いことだって乗り越えられる。分け合えば軽くなるから。



ねぇ、好きだよ。隣で微笑む彼女に心の中でそう声をかける。


今は届かない、伝えてはいけない気持ち。もう後戻りはできないくらいに大きく膨らんでいる。


でもきっと苦しませるだけだよね。



だから。


────好きになってごめんね。


< 71 / 374 >

この作品をシェア

pagetop