夜空の星は月とともに瞬く

大好きだった奏真はもう名前では呼んでくれない。



いや、私の名前か、《裏切り者》が。



いつまでも返事をしないと、しびれを切らしたのか奏真が胸ぐらをつかんできた。



「裏切り者のクセに何無視してるんだよっつってんだろうが!いちいち気に触るんだよ!お前の態度が!イライラするんだよ!」



『…』



「なんとかいえや!」



京斗までもが参戦してくる。



『そうね…裏切り者だわ。私は…そんなに私のことが嫌いなんだったら、イライラするんだったら、私のこと見なければいいじゃないですか。私にかかわらなければいいじゃないですか。ねえ…沼尻さん。上賀茂さん。』



沼尻 奏真



上賀茂 京斗



二人の名前を呼ぶ時、もう既に私の中には恐怖など無かった。

< 25 / 107 >

この作品をシェア

pagetop