副社長のイジワルな溺愛
「深里さん、気にしなくていいからね。俺たち、同僚ってだけだし」
「……はい、ありがとうございます」
同僚――その二文字が何だかすごく冷めて聞こえて悲しくなる。
先週、ちょっとでも浮かれた自分を戒めたくなった。
共通点があるから、もしかしたら私を好いていてくれてるのかもしれないなんて、自惚れたからいけないんだろうな。
そうじゃなかったら、こんなに落ち込んだりしない。
倉沢さんは嘘を言ったわけでもないし、好きな人がいるのか聞いた私に、ちゃんと答えてくれただけ。
「でも、ちょっと気を使うかもしれない。必要以上に噂されても、お互いメリットないでしょ?」
「そうですね」
「深里さんは本当に気にしないで、今まで通りにしてたらいいよ」
三階に着いてエレベーターを降りようとしたら、副社長が到着を待っていた。