副社長のイジワルな溺愛

「お疲れさま。今日はそれで全部だから頼みます」
「かしこまりました」

 大きなL字型の副社長のデスク。彼に向かって座り、時折横顔を見ながら作業をするのはこれで何度目だろう。


 この前、駅前で男性と仲よく堂々と抱き合っていたのは、見間違えではなさそうだ。
 パーマがかかったソフトな印象の髪型も同じだし、整った横顔もすごく似ている。

 ……私には、口角を上げて嬉しそうに微笑んではくれなさそうだけど。


「なんだ?」
「いえ、別になんでもないです」
「人の顔を見るのが趣味か?」
「そんな趣味は持っていません」

 倉沢さんにはできないような口の利き方も、どういうわけか副社長には平気でできる。
 ただの平社員と副社長の立場を考えたら、とても失礼なのは分かっているけれど、私が口ごたえをしても副社長は文句を言わないから不思議だ。

 怒られた方が腑に落ちるんだけどな。


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