副社長のイジワルな溺愛

 隙間から入ってきた彼の舌が、私のものを絡めては逃がしを繰り返す。
 一般的な知識として知っていたこのキスをしたのは初めてで、呼吸もままならず、吐息と一緒に声が漏れてしまう。


「声は抑えて」
「んっ……」

 必死で動きに合わせようとすると苦しくて、思わず副社長のYシャツを握ってしまう。


「かわいいな、お前は本当に」

 彼のタイミングで勝手に中断され、言われたことに何かを返そうとするのに、唇はすぐに塞がれてしまった。

 座面の大きなソファが私の背を受け止め、真上にいる彼のキスは変わらない。

 唇を彼の舌先が舐めた感触で戸惑い、思わず目を開けてしまった。


「……こういうキスは、初めてだったか?」

 素直に小さく頷いたら、途端に恥ずかしくなって頬が紅を帯びていく。
 彼は優しく微笑んでみせると、食後のデザートを楽しむように私の唇と心を食べ尽くした。


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